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Bittrex社がDashの上場廃止を発表したことを受けてライアン・テイラーが示した見解

著者:とみ三(当サイト管理人)

The image by Dan Sessoms and licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License
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2021年1月1日(米国時間)、米国ワシントン州シアトルに本拠を置き暗号資産取引所を運営しているBittrex社が、Monero、Zcash、そしてDashを1月15日で上場廃止とする発表を行いました。

Bittrex社は米国のFinCEN(金融犯罪捜査網)に登録済みのマネーサービス事業者(MSB)であるため、この発表を受けて「他のFinCENに登録済みの大手取引所もこれに続くのではないか」、「これは米国の規制当局の意向なのではないか」などといった憶測も出ている中、Dashの開発をリードするDashコアグループ(DCG)のCEOであるライアン・テイラーがTwitterにて見解を述べました。

 

ここでは、その日本語訳を掲載しています。

とみ三による日本語訳

以下は上場廃止の発表に対しての私の見解です。

 

Bittrexの発表でははっきり述べられていませんが、米国の政府機関が匿名性強化型暗号通貨(AEC)と呼んでいる一部の暗号通貨の規制リスクを軽減するために、Bittrexはこのような行動に出たようです。

 

Dashコアグループとその法律顧問の見解は以下の通りです。

 

  1. DOJ(米国司法省)とFinCEN(米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク部局)の最近の声明は、AECの上場廃止を要求する意図を示していない。
  2. まず第一に、Dashは明らかにAECではない。

 

私たちは、DOJの暗号通貨法規制の枠組みとFinCENのPRM(規則制定提案)の両方に対してDashがAECではないという証拠を提供するために、既に弁護士と協働していました。月曜日(1月4日)にFinCENのPRMに対して書面による正式なコメントを提出する予定です。また、積極的にDOJとの面会時間を調整しています。

 

まず、AECの使用に関するFinCENのコメントは、明らかに文脈に沿ったものであり、法執行機関に新たな課題を提示する可能性のあるプライバシー強化技術の一般的な進歩のリストと並んで記載されています。

 

例えば、そのセクションには、オフチェーン移行(例:BTCのLightning)や、オープンソースのAEC技術の既存の非AECブロックチェーンへの移植性(例:Litecoinにおけるmimblewimbleの採用)など、多くの非AECの開発が含まれています。

 

このような全体的な状況の中で、FinCENは、中央集権的取引所(CEX)がトランザクションに関する追加データを収集することを提案しています。FinCENは、AECやオフチェーン取引をサポートできないとはどこにも書いていません。

 

言い換えれば、彼らは「ユーザーのプライバシーを強化する傾向が暗号通貨市場全体に見られる。その傾向を考慮して、取引所は取引所外の暗号通貨取引に関する追加データを収集する必要がある」と言っているようです。

 

次に、DashはAECではありません! 間違いなくBitcoinのフォークであり、Dashのすべてのトランザクションは完全に透過的です。すべてのインプット、アウトプット、アドレス、金額は、すべてのトランザクションで記録され、パブリックブロックチェーン上で誰でも見ることができます。

 

DashのPrivateSend機能は、ノンカストディアルなCoinJoinの実装をブランド化したものでしかありません。私の言葉を鵜呑みにする必要はありませんが、ChainalysisやPerkins Coieのような業界をリードする専門家たちも同じ考えです。

 

ChainalysisはDashについての報道発表の中で次のように述べています。

 

技術的に類似した他の暗号通貨でも、PrivateSendと機能的に同一のミキシングトランザクションを実行することが可能です。技術的な観点から見ると、Dashのプライバシー機能はビットコインのプライバシー機能よりも優れているとは言えず、Dashを「プライバシーコイン」として分類するのは不適切です。実際に、独立系(サードパーティ)のウォレットソフトウェアがCoinJoinのより高度な形態[例:Chaumian CoinJoin]を提供していて、ビットコイン、ビットコインキャッシュ、ライトコインといったプライバシーコインとして分類されていない主要な暗号通貨で使用されています。

ソース:https://blog.chainalysis.com/reports/introducing-chainalysis-investigation-compliance-support-dash-zcash

 

また、Perkins Coie(大手法律事務所)は以下のように述べています。

 

BitcoinのトランザクションでもDashと同じように容易にCoinJoinを使用することができるので、Dashは技術的にビットコイン以上の「プライバシーコイン」ではありません。Dashは「プライバシーに主眼を置いている」という認識が広まっていますが、それは実際の機能を正確に反映していません。

ソース:https://www.perkinscoie.com/images/content/2/3/237411/perkins-coie-llp-white-paper-aml-regulation-of-privacy-enablin.pdf

 

私たちは、ビットコインのトランザクションプロトコルを変更せずに、ビットコインのブロックチェーン上で「PrivateSend」トランザクションを実行できることを証明しました。こちらがビットコインネットワーク上での「PrivateSend」です。

https://btc.cryptoid.info/btc/tx.dws?2e9aa4e7c7aa704055adc7ce396533164a097515189a30f1e9c8fa73b21dc174.htm

 

そして、こちらがDashネットワーク上のPrivateSendです。

https://chainz.cryptoid.info/dash/tx.dws?a8656b7655c14445c652d8e5e27a6155e8a39aa792f99210607437737999a945.htm

 

Dashは過去にいくつかの小規模な取引所から上場廃止になりましたが、それらの取引所のコンプライアンスチームが事実について教育を受けた後は通常、その決定を覆して再上場をします。

 

もちろん私たちは、Bittrex社と協力して再上場できるように努力しますが、それは彼らが喜んで協力してくれることを前提にしています。

 

最大級の取引所には、技術を熟知した企業内弁護士がいる傾向があり、そのような取引所は、提案されたルール変更をサポートするために使用される文脈上の文言に対して反射的に反応する蓋然性がはるかに低いです。

 

要するに、これはRipple社に対して取られたSECの執行措置と同じレベルではありません。それとは程遠いです。私たちが知る限りでは、AEC(匿名性強化暗号通貨)は米国の規制当局による禁止の対象にはなっていません。

 

仮に禁止の対象になっていたとしても、Dashは断じてAECではなく、当然そのような行為(上場廃止)からは除外されるべきです。

 

私たちは、FinCENとDOJがこのトピックについて適切な教育を受け、取引所がDashの上場を継続しながらも規制義務を果たすことができることを理解してもらえるよう、引き続き努めていきたいと考えています。

 

過去にSECとの間で同様の課題に直面しました。2018年の頃、SECはDashが証券にあたる可能性があると考えていたため、上場廃止に直面しました。その懸念は同じ年の後半に片付きました。

https://www.cryptoratingcouncil.com/asset-ratings

私たちはこのような認識の問題にも対処しています。

 

ちょうど今週、テストネットにDash Platformをリリースし、Dashは独自のアプリケーションをホスティングできるようになりました。ブロックチェーンベースのユーザー名を使用した DashPay ウォレットは来週リリースされる予定です。1月末までには、本当にクールな発表がたくさんあり、共有するのが待ちきれないほどです。

 

Dashは、9四半期連続で経済的トランザクション(すべてのトランザクションからコインベーストランザクションとミキシングトランザクションを除いたトランザクション)の増加を達成し、過去最高を更新しました。実際、成長は前四半期比で2桁台に加速しました。2021年は平坦な道にはならないでしょうし、悪いニュースで2021年をスタートさせるのは特に好きではありませんが、これは道の中の一つの瘤(こぶ)でしかありません。