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Dash(ダッシュ)は金融庁の「ホワイトリスト」に入らないのか?

金融庁の登録を受けた仮想通貨交換業者が取り扱う仮想通貨のリストは俗に「ホワイトリスト」と呼ばれています。

 

コインチェック社が金融庁に登録されないのはDash(DASH)、Monero(XMR)、Zcash(ZEC)といった匿名性の高い仮想通貨を取り扱っているからだという憶測も広まっています。朝日新聞と日本経済新聞はそれが理由だと報道しています。

https://www.asahi.com/articles/ASL1Y35P8L1YULFA007.html

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO26352880R30C18A1EA2000/

 

 

はたして匿名性の高い仮想通貨は金融庁の「ホワイトリスト」に入るのでしょうか。

 

ここでは主に、Dashが「ホワイトリスト」に入るかどうかを考え、当サイト管理人の意見を述べさせていただきます。

 

 

ビットコインとDashの間で「ホワイトリスト」入りの可否の線引きをするのはかなり無理がある

 

Dashはビットコインのコードをベースにして開発されています。匿名化方法のプライベートセンド(コインのミキシング)の元の技術であるCoinJoinはビットコインの匿名化方法として開発されました。ビットコインにもCoinJoinを使った匿名化のためのミキシングサービスが存在します。ダッシュの匿名化方法との違いは中央集権型で信用が必要なことです。

 

ビットコインのミキシングサービスの例

https://coinmixer.se/en/

http://www.bitcoin-mixer.org/

https://cryptomixer.io/

※信用できるサイトかどうかの確認はしていませんのでご注意下さい。使用を推奨するつもりはありません。

 

Dashのプライベートセンドはオプションの機能です。ダッシュの開発を担うDashコアグループのCEOであるライアン・テイラー氏は昨年10月に公開されたインタビュー記事で、

 

この機能(プライベートセンド)の利用はDashのトランザクションの1%未満です。人々はデジタル通貨のプライバシーを考える時、ダークネット市場で行われているような違法取引についてよく連想します。一部のデジタル通貨は実際にこのニッチ市場をターゲットにしています。Dashはダークネット市場に統合されておらず、我々はより広い経済圏に焦点を当てています。

 

と述べています。 

 

また、Dashのブロックチェーン(分散型台帳)にはビットコインと同じく全ての取引履歴が記録されているので、マネーロンダリング・テロ資金供与対策のプラットフォームも存在しています。

 

このようにビットコインとDashは構造的に近い性質を持っていますので、ビットコインを「ホワイトリスト」に入れてDashを入れないという判断はかなり理不尽なものだと言えます。

 

 

ビットコインも使い方によっては匿名性を持ち、マネーロンダリングに使われている

 

コインチェック事件の犯人がダークウェブ上にある自作の交換所で盗んだXEM(NEM)をビットコインとライトコインに交換しているのはマネーロンダリングそのものです。

 

匿名性の高い仮想通貨はマネーロンダリングに使われやすいという見方があります。しかし、金額ベースで見た場合、時価総額と流動性が高いビットコインのほうがはるかに多くマネーロンダリングに使われているでしょう。なぜならビットコインも匿名で入手して匿名で手放せば「匿名通貨」になるからです。

 

ビットコインはローカルビットコインに代表されるような取引所外での相対取引(OTC)が最もしやすい仮想通貨です。また、本人確認が不要な取引所も存在します。いずれも匿名性の高い取引をすることができます。

 

金融庁は監督下にある仮想通貨交換業者が関知しないところで起きるマネーロンダリングやテロ資金供与に責任を持とうとするべきではありません。マネーロンダリングに使われている仮想通貨の取り扱いを認めないとするなら、仮想通貨交換業者はビットコインを取り扱えなくなります。あくまでも監督下の仮想通貨交換業者がマネーロンダリング等の犯罪のために使われないようにすることに集中すべきです。匿名性の高い仮想通貨を取り扱っていても厳格な本人確認を交換業者に実施させることで、それは実現できるはずです。

 

 

ビットコインは今後匿名性を高めることが予想される

 

ビットコインのコア開発者であるグレゴリー・マクスウェルはCoinJoinを2013年に発表した時に「ビットコインの弱いプライバシー」を「緊急に改善しなければならない」と言っています。

 

現在もTumbleBit、Confidential Transactions等の匿名化方法の実装が検討されています。仮に金融庁が匿名性の高い仮想通貨の取り扱いを認めなかった場合、匿名性が低い仮想通貨の開発者に圧力をかけることになるかもしれません。

 

また、「ホワイトリスト」に入っている仮想通貨がアップデートにより高い匿名性を獲得した場合、「ホワイトリスト」から外さないと整合性がとれなくなるでしょう。

 

 

Dashが「ホワイトリスト」から漏れるなら関係者の事実誤認などによるものだろう

 

もしも、Dashが「ホワイトリスト」から漏れることがあれば、それは金融庁の担当者の方の事実誤認、または判断に私情が入り込んだ場合だと思われます。

 

仮想通貨の未来のために私情を交えない公正な判断を期待します。また、「ホワイトリスト」は国家によるお墨付きではないというかねてからの認識を交換業者の新規登録時に記者会見を開くなどして周知徹底していくべきだと思います。

 

Dashは多くの企業・団体・個人とパートナーシップを結んでいます。

 

例えば、米国のアリゾナ州立大学はDash(Dashは分散型自律組織)から資金提供を受けてブロックチェーン・リサーチ・ラボを設立しました。また、別の資金提供を受けて大学院にブロックチェーンコースが今秋創設されます。さらに、Dashから奨学金の提供も受けています。

 

また、Dashコアグループの本拠とブロックチェーン・リサーチ・ラボはアリゾナ州立大学のイノベーションセンターであるSkySongの中にあります。

 

Dashが「ホワイトリスト」に入らなかった場合、Dashと関わりの深い企業・団体・個人がどのように受け止めるかも金融庁の担当者の方は想像すべきだと思います。